コラム

次世代に伝えたいご当地食vol.2

爽やかな香りと鮮烈な痺れ
飛騨の標高800m生まれのスパイス

<岐阜県>
●「山椒粉」
¥756(税込参考価格)
●「ミル付き粒山椒」(青)
¥1,452(税込参考価格)
飛騨山椒

突然ですが、台所にしまわれている山椒、いつ購入し、最後に使ったのはいつでしたか? 山椒は家にあるスパイス類の中で一番使用頻度の少ないものかもしれません。だから「儀式としてかけるだけで、正直、あってもなくてもいい」と思いがちですが、そう考えるのは、まだ奇跡の山椒に出会っていないからではないでしょうか。飛騨でつくられる「山椒粉」を知れば、一度でその風味に魅了されるはずです。

涼しげな緑色の粉の見た目も美しいのですが、特筆すべきは、なんといってもその香り。ミントのような爽やかさと柑橘系の爽やかさは唯一無二。そして、ほどよい辛さと痺れのバランスも素晴らしい。うなぎの名店や料理人に選ばれる「山椒粉」は、岐阜県奥飛騨温泉郷で山椒を栽培、山椒商品を生産するメーカー・飛騨山椒の看板商品。その製法はすべて手作業、自然の力を借りた時間のかかるつくり方です。

夏の間に手摘みで収穫した青々とした山椒の実を陰干し(1〜2日)した後に、今度は天日干しをします。乾燥機を使わないのは、特徴である香りを守るため。乾いた実は、種と皮に分けます。この皮が山椒粉の原料で、注文分だけ杵と石臼で突き、出荷。摩擦熱で香りが飛ばないよう、石臼を使っているので、山椒粉の鮮やか緑色と鮮烈な香りの残ったまま、商品になるのです。

 

さらに、フレッシュさを追求するならば、やはり挽きたての香りを楽しめる「ミル付き粒山椒」(青)がオススメ。「山椒粉」では現地で注文のたびに粉にしていたものを、食す直前に自らの手で挽くことができるのです。青々とした山椒の皮を透明なミル越しに見るもの楽しみの一つ。同ミル付きのシリーズには(青)のほかに(赤)もあり、若い青山椒の柑橘系な香りと異なる、熟した赤山椒のフローラルな香りを体験できます。

まさに、山椒は山の恵み。写真は、長い飛騨の冬を乗り越え芽吹いた、新芽である「木の芽」と、黄色の花をつけた「花山椒」を摘み取った「生の花山椒と新芽」。ネットだけでの数量限定予約販売品ではありますが、牛肉といっしょにしゃぶしゃぶして食べる「花山椒しゃぶしゃぶ」は絶品です。

この、飛騨の厳しい自然の中で育つ「高原山椒」という品種は、元々、当地に自生していたもので、江戸時代には徳川家に献上された歴史もある、由緒正しい品種。しかし、不思議なことに、この高原山椒、栽培地は高度800m、半径5kmの範囲に限られていて、他の土地に移すと香りが失われてしまうというのです。「土地、水、気温、霧など、さまざまな条件が重なった偶然」とされており、まさに奇跡の味。だからこそ、守り伝えていきたい大切な味と考えます。

「青山椒は香りが命」ということを理解していただけたでしょうか? では、いよいよ香り爽やかなハーブやスパイスとしてあらゆる料理に試してみてください。うなぎなど和食と合わせるだけでなく、ピザやラーメンなど、洋や中の食ともマッチ。胡椒をつかうような要領で、スープやサラダに一振りすれば、新しい味覚の扉が開くはずです。コクのある料理、乳製品やローストした肉などに使ってみてください。とりわけ、コーンクリームスープにほんの少し加えるだけで、コーンの甘さがグッと引き立ちます。

さて、このように希少価値も高く、今夏の収穫分が売り切れれば、もう来年まで待つほかないため、「来年の丑の日のころに」と思っていると入手困難になりますのでご注意を。飛騨の青山椒は香りが長持ちする特性がありますが、今年、新ものの青山椒を買ったなら、缶ごと、またはミルごと冷凍保存することを強くお勧めします。

<ご購入について>
岐阜県内外の一部スーパーや同社オンラインショップなどで購入可能。
※生産量が決まっているため、売り切れることがあります。

飛騨山椒オンラインショップ

https://hidasansyo.com/