食品業界最前線

空きスペースをトランクルームにして、資源の有効活用

株式会社アンビシャス


価格の高騰により、そう簡単に大きな家やマンションに住み替えができない昨今、トランクルームの市場規模は、2010年から2019年の9年間で1.7倍、約720億円に成長。都市部の人口集中率を鑑みると、今後2,500億円にまで成長すると言われている。2005年に大阪で創業後、右肩上がりに店舗を増やしている株式会社アンビシャスは、利用者本位のサービスを次々に展開。単身者やファミリー層といった一般家庭に受け入れられるだけでなく、大規模商業施設や大手スーパーマーケットにも広がり、空きスペースの有効活用としてサスティナブルの面からも注目されている。その秘訣を代表取締役の徳永暢也氏に聞いた。

商品開発から集客までを自社で行う

株式会社アンビシャスの創業者と共に、立ち上げから参画した徳永氏は、2007年から代表を務めている。アンビシャスの事業は、屋内型トランクルーム収納スペース事業のフランチャイズが中心だ。同社の特徴として、徹底した顧客サービスがあげられる。利用者の利便性をより良くするためにマーケティングに力を入れ、自社にWEBマーケティングとシステム開発機能を置き、常に改善・改革を進めている。
商品開発・生産→物件開発→加盟開発→出店→集客
という一連の流れを一貫して自社でやることで、PDCAを回していく。そこにノウハウが積み重なっていくのだ。

トランクルーム「収納ピット」

コンテナやテナントビルを活用したトランクルームのフランチャイズ事業「収納ピット」は、同社の主力商品である。2022年10月現在、大阪を中心に関西が324店舗、関東と中部で178店舗を展開している。全体のうち約100店が直営、ほかはフランチャイズである。
先に述べたように、収納ピットの特長として、第一に使う人の利便性や安心感に寄り添ったサービスだということがあげられる。

手軽さと安心感

ネットで申込んでクレジットカードで決済できる手軽さ。鍵の受け渡しは同社のオフィスでもいいし、郵送で受け取ることもできる。銀行振込の場合は、保証会社の審査を受けた上で契約となる。最小で0.3畳、月額3,080円(税込)だ。

・豊富なサイズ

トランクルームの高さはほとんどの店舗で2mあり、スキー板などの長いものの収納や衣装ケースを積み重ねることもできる。0.5畳から4.0畳が基本で、様々なサイズから収納するものの量によって選ぶことができる。

安心なセキュリティシステム

屋内トランクルームでは専用のセキュリティカードを採用し、防犯カメラも設置。屋外のトランクルームは、人通りの多い道路に面した1階で、車を停めることもできる。死角がないように設計されているので女性が一人でも安心して利用できる。


また、ほとんどの店舗でエレベーターは6名以上の積載サイズで台車の貸出サービスもあり、運搬もラクにできる。他にも明るい電灯、送風・換気システムなど、気配りは万全だ。
店舗数の多さは、自宅近くで借りて、使いたい時に荷物を出し入れできるメリットも。利用者の用途は様々だが、多いのは一般家庭の「使わないけれど捨てたくないもの」だそう。思い出のグッズ、卒業アルバム、子どもが小さい頃に描いた絵など、誰にでも思い当たるものがあるのではないだろうか。スタッドレスタイヤ、扇風機といった季節ものも収納場所に困るものの筆頭格だ。もちろん、法人の在庫や資料置き場として使うことも可能だ。

空きスペースの有効活用

同社ではさらなる需要の増加を視野に入れて、トランクルームとして利用できる物件の募集も行っている。「収納ピット」は、空室に悩むビルオーナーや商業施設の新しいテナントとしても注目されており、実際、オーナー側にとってもメリットが多い。

契約条件の中に、「現状渡しで15年以上借りる」とあり、短期利用の入居者を避けたいオーナー側の意向とマッチ。長期間借りることで、退去に伴う改装費や新たなリーシング費用も削減できる。すっきりと機能的な内装、セキュリティ、外看板、利用者募集まで、一貫して同社がカバーする。

さらに、1室からでもトランクルームとして貸し出すことが可能。室内をパーテーションで区切ってトランクルームにするため、1店舗あたり20~50部屋ぐらいのトランクルームが稼働する。利用者が荷物を出し入れするのは、平均2~3カ月に1回程。会員制なので誰でも利用できるわけではなく、利用頻度も低いことから他のテナントや近隣住民とのトラブルは生じにくい。

商業施設なら空きスペースのマイナスイメージを払拭できる上、明るい雰囲気の新たなショップとして見た目でも利用者に好印象を与えるだろう。
16年間で500店舗近く出店し、経営不振による自社撤退はゼロというのも、その利用しやすさを物語っている。ひとつの物件を数十部屋に分割して賃貸することで、空室リスクを解消でき、坪単価が2.5倍にアップするというのは、投資家にとっても投資利回りが最大25%という魅力的な案件だ。商店街の空き店舗、スーパーマーケットの空きスペース、鉄道の高架下など、候補地は数多い。

空きスペースの募集エリア
【関東】 東京、神奈川、千葉、埼玉
【関西】 大阪、京都、兵庫、奈良
【中部】 愛知
※商業施設内であれば、エリア制限なく出店検討可

今後の展望

同社の経営理念は「社会にどう貢献するか」ということ。徳永氏は、「おじいちゃん、おばあちゃんと同居したい、リモートワークの部屋がほしい、思春期の子どもの個室がほしい、という要望があっても簡単に住み替えはできません。収納を外に持つことで、スペースが確保できて住環境の改善につながれば、家族が仲良く暮らせます。家庭の平和こそが地域社会の平和、ひいては日本や世界の平和につながるのでは」と思いを語る。

断捨離もいいけれど、なかなか思い切るのは厳しい。それなら安価で外に収納スペースを持てば、すっきり片付いた自宅で豊かな暮らしをすることができそうだ。

株式会社アンビシャス
【大阪本社】 〒542-0081
大阪市中央区南船場1丁目3-5 リプロ南船場8F
【東京支社】 〒103-0025
東京都中央区日本橋茅場町2丁目11-8 茅場町駅前ビル5F

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